こんにちは! インドネシアで日本語学校を運営しているサトです。
メタバース関連の本はいろいろ出ていますね。
わたしも日本語の授業に生かせるポイントはないかと、読み漁っています。
この記事では、『メタバースとWeb3』という本をレビューします。
『メタバースとWeb3』の著者について
まず、本書の著者である國光宏尚氏をご紹介しましょう。
國光氏は、次のような肩書をお持ちです。
- 株式会社Thirdverse代表取締役CEO/Founder
- 株式会社フィナンシェ代表取締役CEO/Founder
Thirdverse社はVRコンテンツ・サービスの開発などを手掛けている会社です。
さらに國光氏は、本書で次のように述べています。
私が代表を務めるThirdverseは開発するVRゲームをただのゲームでは終わらせず、そこに経済圏を加えることで「多くの人々が住む、新しいメタバース」を作っていくことを目指しています。
國光 宏尚著『メタバースとWeb3』(2022年 MdN)より引用しました。
ちょっと翻訳すると、「ゲームなどのコンテンツだけでなく、仕事をしながら生活できるような世界をインターネット上に作りたい」ということですね。
また、フィナンシェ社が何をしているかというと、公式サイトに次の説明がありました。
フィナンシェは「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をビジョンに掲げ、ブロックチェーン技術を活用した、NFT事業やトークン型のクラウドファンディング2.0 「FiNANCiE(フィナンシェ)」を運営するWEB3企業です。
株式会社フィナンシェ公式サイトより引用しました。
ちょっと何言ってるか分からない……
……と思われたかも知れませんが、ご心配なく!
わたしも本書で具体的な事業の内容を読むまでよくわからなかったので……。
ざっくり言うと、「フィナンシェ社はメタバースと相性のいい技術を使って、いろいろやっている会社」ということです(本当にざっくり)。
それより大切なのは、國光氏は、メタバースやメタバース関連技術の分野で事業を行っている会社の代表ということ。
わたしも本書に期待をしながら読み進めました。
本書で得た学び(4点)
わたしが本書で得た学びは、次の4点です。
順に見ていきましょう。
学習者と教師を結ぶマッチングサービスの将来
まず、学習者と教師を結ぶマッチングサービスの将来です。
この点が、日本語教師にいちばん関係がありそうな学びでした。
現在、オンラインで日本語を教える際に、学習者を探すためにプラットフォームを利用する手があります。
ただ、この場合、プラットフォーム側に手数料が取られてしまいますよね。
この点について、國光氏は次のように述べています(太字はサトによる)。
CtoCマーケットプレイスのメルカリ、配車や宿泊ならばUberやAirbnb、仮想通貨交換業者などもプラットフォーマーとして大きな利益を稼ぎ出しています。 しかしよく考えれば、売りたい人と買いたい人がいて直接つながれるなら、中間のプラットフォーマーが必要あるのかという話です。
國光 宏尚著『メタバースとWeb3』(2022年 MdN)より引用しました。
「売り手と買い手」を直接つなぐのは、メタバースではなく、ブロックチェーンを活用すると実現可能だとのこと。
仕組みはよく分かりませんが、オンラインプラットフォームで日本語を教える場合に、有利に働くのは間違いありません!
Zoomに足りない点をメタバースでカバーできる理由
次に、Zoomに足りない点をメタバースでカバーできる理由も分かりました。
「Zoomに足りない点」とは、何なのでしょうか。
本書には、次のとおり書いてあります(太字はサトによる)。
二つ目に重要になるレスポンス、これはZoomで会話がかぶったり、お互いが無言になってしまう、というアレです。(中略)なぜZoomだと起こるかというと、(中略)うなずいたり、まばたきしたり、表情がリアルタイムで伝わってこないことに起因しています。
國光 宏尚著『メタバースとWeb3』(2022年 MdN)より引用しました。
たしかにZoomで授業をしていると、学習者と発言のタイミングが重なることがしょっちゅうあります。
これは相手の表情や視線などがリアルタイムで伝わってこないためだったんですね……。
でも、この弱点は、メタバース(VR)の技術が発達すればカバーできるんだとか!
オンライン授業がなくなることはなさそうですし、今後に期待したいところですね。
詳しくは、本書をご覧ください。
最新情報を確認しながら本を読むことの大切さ
それから、最新情報を確認しながら本を読むことの大切さを学びました。
特にメタバースのような新しい領域では特に気をつけたいところです。
というのも、本書に次のとおり書いてあったんです(太字はサトによる)。
2022年後半にメタが、22年後半から23年前半にアップルが、24年にグーグルがいよいよARグラスを投入します。
國光 宏尚著『メタバースとWeb3』(2022年 MdN)より引用しました。
本書を読む前にもメタバースの本を読み漁っていたわたしは、「MetaといえばVRゴーグル」という頭があったので「あれ?」と思いました。
そこで検索して出てきたのが、次のニュースです。
The Vergeが米国時間4月13日に報じたところによると、同社は2024年にARグラスの第1弾を市場に投入、さらに2026年と2028年には、より高度な設計の製品を投入することを目指しているという。
CNET Japan 2022年4月14日付「Meta、ARグラス第1弾を2024年に発売か」より引用しました。
Metaは、拡張現実(AR)グラスの最初のバージョンを2024年に一般発売する計画を破棄し、代わって2つ目のバージョンに注力する意向だ(後略)
CNET Japan 2022年6月13日付「Meta、ARグラスの計画を変更–第2のバージョンに注力か」より引用しました。
MetaもARグラスの開発をしていたんですね。
ただ、2022年4月時点での計画が、わずか2か月後に変更されています。
変化がめちゃくちゃ速い!
本書が発売されたのが2022年3月30日だったので、アップデートが間に合わなかったのかも知れません。
とにかく、本に載っているからと言って、鵜呑みにするのはよくないなあと思いました。
少なくとも、疑問に思ったことはちゃんと調べようと思います!
著者の意図を考えながら読むことの大切さ
最後に、著者の意図を考えながら本を読むことの大切さも学びました。
本書には、教育について次のように書いてあるんです。
一方で、教育などの分野はイノベーションのスピードが遅く、必要性は高いものの、メタバース・Web3へのシフトはまだ先になると予想されます。その理由としてよく使われているのが「レディネス」という表現です。 レディネスとはつまり、「準備ができているかどうか」という意味です。そこには利用者側の準備と、供給者側の準備という二つの方向性があります。(中略)その点、日本の教育現場は、利用者側のレディネスよりも、供給者側のレディネスが整っていないと考えられます。供給者側がなかなかシフトできないのです。
國光 宏尚著『メタバースとWeb3』(2022年 MdN)より引用しました。
わたしはこれを読んで「なるほど」と思ったのですが、すぐにECC外語学院で「VR英会話体験会」を実施していたのを思い出しました。
VR英会話も、メタバースの活用例です。
わたしも体験会に参加させていただきました!
他社からも、VRを使った英会話のサービスが出てきています。
なので、引用部分の「教育」というのは、おそらく「公立の学校での教育」を指しているんだろうな、と推測します。
差別化をしたいというモチベーションがあり、それが可能な環境なら、供給者側が積極的に新しいものを取り入れるはずだからです。
本書ではこのあと、VRを採用している「N高等学校」も取り上げていますが、同校は私立です。
もちろん教育においても、学校法人角川ドワンゴ学園が運営する「N高等学校(N校)」のようなVRを教育に取り入れている事例もあります。
國光 宏尚著『メタバースとWeb3』(2022年 MdN)より引用しました。
他校との差別化を強く意識しているからこそ、VRの導入などをしているのでしょう。
残念ながら事例の紹介だけで、N高等学校の存在をどのように位置づけるか(私立だからこそできるのか、例外なのかなど)、著者の見解はありませんが……。
とにかく、ことばだけを捉えてわかったつもりになるのは危険やなあと思いました。
少なくとも、違和感をおぼえたときは立ち止まって考えるようにします!
まとめ
この記事では、『メタバースとWeb3』という本をレビューしました。
わたしが得た学びは、次のとおりでしたね。
ご参考になれば幸いです!
オススメのメタバース本3選
なお、メタバース本はいろいろあってどれを読めばいいか迷っているかもしれませんね。
そこで、わたしが今まで読んだ10点以上のメタバース本の中から、3点をピックアップしました。
どれも無料で読めますし、内容も間違いないものです。
特にオススメのメタバース本(3点)を紹介する記事はこちらです。ぜひお読みください!