こんにちは! インドネシアで日本語学校を運営しているサトです。
現在、メタバースについて学んでいまして、関連書籍を10冊ほど読みました。
「メタバース」がタイトルについていなくても、メタバースについて学ぶのに適した本もあります。
逆に、タイトルに「メタバース」が入っていても、メタバースを学ぶのにベストとは言えない本も。
この記事では、『メタバースがGAFA帝国の支配を破壊する!』という本をレビューします。
結論から言うと、本書は、メタバース本というより、GAFAを批判する本です。
正直、メタバースについて学ぶなら、『テクノロジーが予測する未来』などのほうがおすすめです……。
とは言え、他のメタバース本にはない独自の視点もあり、興味深く読ませてもらいました。
本書がメタバースを学ぶのに最適ではない理由
私が思うに、本書は、メタバースを学ぶのにベストとは言えません。
その理由は次の2点です。
順に見ていきましょう。
「まえがき」に「メタバース」が出てこない
まず、本書の「まえがき」に「メタバース」ということばが出てこない点です。
かろうじて「メタ」という社名が出てきますが、「メタバース」自体には全く触れていません。
そして、「まえがき」の最後では、次のように述べています。
本書では、GAFAを代表するようなビッグテックが世界各国の政治を支配し、個々人の生活を監視しているという実態に警鐘を鳴らす。
深田萌絵 著『メタバースがGAFA帝国の支配を破壊する!』(2022年 宝島社)より引用しました。
わたし、これを読んだ瞬間、崩れ落ちそうになりました。
メ、メタバースはどこに……?
……と。期待している内容と、あまりにかけ離れていたからです。
まあ、確認しないで買ったわたしが悪いんですけど……。
「メタバース」が出てくるのは全6章のうち2章のみ
それから、本書で「メタバース」ということばが出てくるのは、全6章のうち、2章だけです。
Kindle(電子書籍)で検索をかけましたが、第5章と第6章に出てきていただけでした。
目次は、次のとおりになっています。
- まえがき IT革命と民主主義
- 第1章 言論統制と政府癒着
- 第2章 GAFAの政治
- 第3章 GAFA独裁
- 第4章 日本版GAFAが生まれない理由
- 第5章 メタバースの時代へ
- 第6章 新時代に揺れるGAFA
- あとがき 言論の闘いは、技術の闘い
ここでも「メタバース」ということばが出てくるのは第5章だけです。
実際には第6章でもメタバースについて触れられているのですが、他のメタバース本と比べると、「メタバース」の存在感が薄いと言わざるをえません。
とは言え、本書ならではの視点も入っていて、そこは興味深く読ませてもらいました。
『メタバースがGAFA帝国の支配を破壊する!』ならではの視点
本書はメタバースを学ぶのに最適ではありません。
ただ、わたしが読んできた他のメタバース本にはない、ユニークな視点もあります。
メタバースはひとつ?
例えば、次のとおりです。
メタバースを握った一社が全ての人の生活を握ることになり、この革命は産業革命やIT革命を越える変化を世界にもたらす。
深田萌絵 著『メタバースがGAFA帝国の支配を破壊する!』(2022年 宝島社)より引用しました。
このように本書では、メタバースは文字通り「一人勝ち」になるという前提で書かれています。
一方、『世界2.0』という本では、いろいろなメタバースが出現すると予測。
しかし少なくとも仮想空間上では、お互いが干渉せず独立したメタバースが、何億個も膨大に存在するようになるはずです。Aさんがログインするメタバースでは、Aさんが大統領として世界を統治する。
『メタバースとは何か』という本でも、次のように両方の可能性を残しています。
ここ数年の利用者獲得競争が、次のインフラであるメタバースの覇者を決めるだろう。勝者が一つに定まらなくても、一握りの企業がこのインフラを寡占するのは確定的である。
岡嶋裕史 著『メタバースとは何か』(2021年 光文社)より引用しました。
本書では一社に集約されるという一択に賭けているところがユニークだなあと思います。
メタバースでの体験は現実に勝てない?
また、本書では、音楽のライブについて、次のように述べています。
(前略)メタバースの弱点である「リアル体験の満足度」を高める努力をしてもらいたい。音楽配信が始まってからLIVEのチケットが売れて、LIVE市場は拡大している。『リアル』で得られる五感の満足に「バーチャルリアリティ」は勝てないからだ。
深田萌絵 著『メタバースがGAFA帝国の支配を破壊する!』(2022年 宝島社)より引用しました。
メタバースでの体験より「リアル」での体験のほうが上、ということですね。
それに対し、『メタバースとは何か』には、次のように書いてあります。
リアルのイベントスペースでは考えられないような場所やアングルで鑑賞してもいいし、走りながら、泳ぎながら聴いてもいい。その臨場感も高品質だ。泳ぎながら聴くのであれば、ちゃんと水の中で聞こえる音をシミュレートしてくれる。
岡嶋裕史 著『メタバースとは何か』(2021年 光文社)より引用しました。
『メタバースとは何か』では、メタバースでの体験がリアルな体験を上回るという趣旨でライブが語られています。
わたしはライブを会場でも配信でも楽しんでいます。
その立場から言うと、メタバース上でのライブもぜひ体験してみたいところです。
とにかく、間近でアーティストを見てみたい!
もっと言えば、会場でのライブもメタバース上でのライブも違った魅力があり、比べるものではないのかもしれないなあと思いました。
そう思えるようになったのは、本書のユニークな視点に触れたからで、ここは感謝しています。
まとめ
この記事では、『メタバースがGAFA帝国の支配を破壊する!』という本をレビューしました。
メタバースを学ぶのに最適ではないものの、本書ならではの視点も入っています。
ご参考になれば幸いです!
オススメのメタバース本3選
なお、メタバース本はいろいろあってどれを読めばいいか迷っているかもしれませんね。
そこで、わたしが今まで読んだ10点以上のメタバース本の中から、3点をピックアップしました。
どれも無料で読めますし、内容も間違いないものです。
特にオススメのメタバース本(3点)を紹介する記事はこちらです。ぜひお読みください!